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姿勢を見ればコンプレックスが分かる
サロンプランナー ALFARE 阪口氏 コラムスタート
これまで数多くのサロン様、美容師さんと講習などを行い、サロンプランナーとして活躍してきたALFARE 代表 阪口氏。
独自の視点でこれまで多くのサロン様へのブランディング、スタイル撮影のポイントをレクチャーするなど多岐にわたり幅広い活躍。
そして今回から、数回に渡ってこれまで携わってきた多くの経験を元にコラム記事を掲載していきます。
サロン様、美容師さんに役立つ情報となれば嬉しく思います。
是非ご覧ください。
ご挨拶
コラムをご覧の皆さま、初めまして!
株式会社ALFARE(アルファーレ)代表の阪口と申します。以降、よろしくお願い申し上げます。
先ず、現在私たちが置かれている環境は未曾有の真っ只中です。とても楽観視はできませんが、やるべきことはしっかりとやる。収束してからのことも、できるだけ今から準備を整えておくことが大事です。準備とは自分の自信です。
人間の可能性をしっかりと未来の私たちに誇れる今を作りましょう。
学歴 大阪芸術大学文芸学科卒業
職歴 広告代理店2社を経て
2010年4月:ALFARE 創業
2012年1月:株式会社ALFARE 法人化(現在に至る)
2004年11月:ウエラジャパン株式会社主催 SPCグループ トレンドセミナー
2005年4月:FORD化粧品主催 フォトセミナー講師
2006年~2011年:COTA株式会社主催フォトセミナー講師(東京・名古屋・熊本)
2009年10月:HOYU株式会社主催 プロフェッショナルコース講師(名古屋本社)
2010年5月:COTA株式会社主催 フォトセミナー講師(大阪)
2011年3月:梅田美容商事株式会社主催 フォトセミナー講師(大阪)
2012年5月:梅田美容商事株式会社主催 フォトセミナー講師(豊岡
2013年3月:梅田美容商事株式会社主催 フォトセミナー講師(神戸)
2013年4月:マンダム・ルシード事業部主催 フォトセミナー講師(名古屋)
2014年12月:FORD化粧品主催 ディスプレイコンテスト審査員(大阪)
2015年2月:タマリス株式会社主催 フォトセミナー講師(大阪)
2015年2月:梅田美容商事株式会社主催 フォトセミナー講師(大阪)
2016年4月:株式会社ナプラ主催 ブランディングセミナー講師(福岡)
2017年5月:ヴェールルージュ美容専門学校 ブランディングセミナー講師(大阪)
2017年6月:モロッカンオイル・フォトコンテスト 審査員(東京)
2018年2月:梅田美容商事株式会社主催 ブランディングセミナー講師(和歌山)
2019年5月:YIC京都ビューティ専門学校 講師(京都)
2019年11月:カジカジH フォトコンテスト審査員
(現在に至る)
18年間で約1万人の美容師さん、約1万8千人のモデルさんと関わった経験を元に
日本には美容室が約25万軒、理容室も約13万軒存在しますが、それほどまでに多い美容室の中から毎日お店に足を運んでいただけるお客様がいらっしゃることは奇跡にも近い確率です。
どれだけそれが有り難いことなのかを実感するかどうかで、毎日の生き方は大きく変わります。
これが大前提なのですが、近年の働き方改革により、多くの美容室が基準を遵守しつつあるからこそ、他店との違いは給与や休暇、接客の良さなどではなく、その店でしか実感できない技術やセンスでないと他人であるお客様には伝わりにくいと思います。
これまでの約18年間、のべ1万人の美容師さんと関わり、セミナーを通じて約1万8千人のモデルさんと関わって参りました。
その際、私はモデルさんに聞くことが2つあります。
○普段はどこの美容室に行っているのか?
○そしてシャンプー・トリートメントは何を使っているのか?
実に8割以上の確率で前者は決めていない、もしくは覚えていない。
後者はドラッグストアで買ったものか、何を使っているか分からないという回答です。
これは、これまでに担当したすべての美容師の責任と言えます。60分以上同じ空間で過ごしているにも関わらず、相手には伝わっていないわけです。
これは日本に美容室が約25万軒もあるという数の問題が、隣の美容室との差を分からなくさせている要因であるのは間違いないのですが、ここでの問題は美容師さん側がどう思うかではなく、他人であるお客様がどう思うかがすべてです。
それだけ密に接しているのにも関わらず、相手に伝わっていない多くの原因はコミュニケーションの取り方、関わり方に問題があるのかもしれませんが、一番大きなものは技術力に尽きると思います。
ウィッグと人頭の大きな違いは言うまでもなく毛流れ・生えグセ・毛量・頭の形・顔のパーツ、そして首の位置、肩の位置・体型・年齢・性別の差など、すべてが異なる人間と対峙するので応用しか無い現実を突きつけられる難しさが根本にあります。
美容師はお客様の髪の状態も現状から向き合わないといけませんが、それがまさしく困難な要因です。
そのためには、今の状態を正確に「判断できる目」と「出来ること」「出来ないこと」をハッキリと伝えられるコミュニケーション能力が必要になります。
“姿勢”を整えるだけで現状よりも良く見える
すべての人間に共通していることは、左右の顔が対称(シンメトリー)の人間は居ないということであり、左右が異なるということは、落ちる髪の位置も異なるわけです。
極端なお話しですが、そこに気付けなければ真の似合わせは叶うことは無く、目の前のお客様の姿勢は、目の前のお客様にのみ存在する個性なので、その姿勢を分析することができれば似合わせがよりしやすくなるということになります。
誰でもコンプレックスというものは大なり小なり持っていると思いますが、他人が見て気にするからでは無く、自分がそう思っていることが根本の原因。
現在、写真加工用アプリは2500個以上存在するそうで、遊ぶツールとしては良いと思いますが、実際のところは鏡と向き合うのはリアルで嫌だ。写真の中の世界くらい私を可愛く居させて!というのが本音ではないでしょうか。
これは本人が思っている以上どうしようも無いことですが、そのコンプレックスに美容師が気付くことが先ずはスタートではないかと考えます。
逆に言うなら、正面で今よりも良くすることができる、そんな魔法のようなことを身近な存在の美容室で実現できれば、多くの女性のコンプレックスは緩和され、姿勢の良くない人口も減るのでは無いかとも考えます。
ほぼ全ての人間が姿勢を整えるだけで、今よりも良く見える事実を知る。
これがむやみに髪を切るより、スクより、巻くより、スタイリング剤を付けるよりも、目の前のお客様の個性に向き合う第一歩となります。
↑通常姿勢beforeと、正面に矯正した姿勢afterとの対比写真
※実際の右側の顔は写真では左側に来ますので、右顔の方にRと表記しております
afterですが、赤ライン右首シルエットは後ろに位置し、オレンジライン左首シルエットは手前に位置しますから、左右の水色ラインであるエリ足も、首に準じて右側は後ろ、左側は前に落ちます。
このように姿勢を正さないと正確な髪の落ちる位置を把握できないので、左右のシルエットの違いに気付きにくくなってしまいます。ですからウェットカットでは毛流れが分かりにくいので、似合わせには不向きと言えます。
姿勢も人の数だけ異なるわけですから、目の前のお客様の姿勢と向き合うことは、似合わせへの第一歩になり、オンリーワンの技術となります。
姿勢のズレが起きる要因は様々ですが、鏡を見て育つ過程で「私もこの角度だったら!」というコンプレックスが鏡と向き合った時に生まれます。
またその角度を維持することで、姿勢のゆがみは知らず識らずのうちに形成されていき、固定されてしまいます。
そのまま歳を重ねてしまうと肩こり、腰痛、頭痛、歯のゆがみ、体型の左右差など、体に大きな変化を伴ってしまう原因にもなっているのではないかと私は分析します。
↑通常姿勢beforeと、正面に矯正した姿勢afterとの対比写真
※姿勢を整えるだけでも見え方はかなり変化します。
右側オレンジラインのエリ足は奥に位置し、左側オレンジラインのエリ足は前気味に落ちます。
その前にある右側赤ラインのサイドに落ちる毛流れですが、左側は紫ラインになりますのでかなり前に落ちますし、生えグセと毛流れが左右で異なるので、毛先のシルエットの左右差も大きくなります。
この左右の奥行きの違いを見れるかどうかが、似合わせの重要なポイントになります。
姿勢の歪みは主にコンプレックスが原因であり、自信の無さにも繋がってしまう、大きな心の負荷となります。
個々のコンプレックスに気付いて、的確に切ることができれば、多少の左右差であれば、正面からでも緩和することは可能となります。
大事なことは、今さら自分の顔が変わるということを誰も思っていないので、身近な存在の美容師さんが髪を切るだけで顔の見え方が変わるということを実際に実践することではないでしょうか。
これが人に伝わる技術であり、教育に落とし込むことができれば、後輩に受け継がれていく自店の強力なメソッドとなります。
ですから髪ファーストではなく、顔ファーストにする必要があります。
小中高生のような多感な時期に目の前の姿勢と向き合い、髪を切るだけでコンプレックスを解消できるような美容師さんに出会えたら、強い憧れの対象になりませんか?
大事なことは、毎日のお客様に、鏡の前でプロフェッショナルな姿を見せられているかどうか。それが指名と再来、ひいては求人にも繋がる大きな行動になると言えます。
つまり、目の前の個性に気付き、その法則で髪を似合わせることができれば理美容室が望む集客も求人も根本的な解決に導く手段になり得るということになります。
↑afterが今回のメソッドを元に施術した写真。姿勢も顔の左右差も緩和されています
ですが、鏡の前でも真正面に座る人は先ず居ません。普段の鏡を見ている姿勢を維持する座り方を無意識のうちにするはずです。
そのため、左右のお尻のどちらかに重心が傾き、左右の肩の高さ、開き、首の傾きなどを含めて、真正面に座る人はまず居ないということになります。
左右のズレが生じていることに気付くことができなければ、髪の落ちる位置や左右のシルエットを整えることが難しくなります。
先ずは目の前のお客様の姿勢を見ることから、始めてみてはいかがでしょうか?
きっと真正面の状態で姿勢良く座っている方は居ないはず。
是非、そこに着目して目の前のお客様と向き合ってみてください。
お客様の似合わせの最短距離はその方の姿勢です
これを繰り返していけば、近い将来、自店の強い文化になる日も必ずやってきます。
時代の変化
美容専門学校が2年制になってから21年が経ち、その間はお店を増やす時代でしたが、この状態は鶏が先で、卵が後という感じです。
技術者になるには時間がかかるのに、それを簡素化し、出店を繰り返す。
そのため、技術よりも接客を重視するようになってしまうわけです。
その結果、値段で勝負せざるを得なくなり、
何もこれはお客様だけに関わらず、従業員である美容師さんにとっても同じこと。
ここで切りたい! と言うお客様
ここで働きたい! と言うスタッフ
いずれにしても、ここである必要が無いと、日本には美容室が山ほどあるので選びたい放題。
果たして“その店らしい美容室”は、どれだけ存在しているでしょうか。
見るのも、決めるのもお客様という他人です。
自店らしい人材が育ったから人を採り、育て、巣立たせる。
職人を巣立たせるから、そのお店の箔が付くわけであって、腕の良い若い美容師が居るがあの美容室の出身だ。という寿司職人のような過程がこの業界本来の在り方のように思えてなりません。
良い職人だった現在の経営者の皆さんは、接客者を育てているのか、職人を育てているのか、どちらでしょう。
特に今回の災害で多くの店舗、多くの従業員を抱えた経営者は「固定費」という大きな課題を突きつけられてしまいます。
多い、大きいということは、景気の良い時代ではスケールメリットや、人に囲まれる幸せということもありますが、景気の良い時代は数年前に終わりました。
まとめ
個人でも、多店舗でも、やるべきことは目の前にいらっしゃるお客様に伝わること、本来の技術者として鏡の前で結果を出すことではないでしょうか。
目の前のお客様の個性を見れば、気付けば、そこを切る。そこからがセンスの見せ所、個性を発揮するところです。
パターンに当てはめるような展開ではなく、数あるお店の中から選び、わざわざお越しいただいたお客様にオンリーワンの技術を振るってください。
きっと笑顔で再来店していただけることでしょう。
次回は「なぜスタイル撮影・作品をつくるべきなのか?」についてお話しさせていただきます。
ありがとうございました。
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