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美容室を開業して安定した経営をするための資金計画シミュレーション方法
美容室を開業しても赤字になり、閉店しないようにするために、行わなければならないのが資金計画です。
黒字で長く運営できている美容室ほどしっかりとやっているところです。
面倒だけど必ずしなければならないところでもあり、多くの方がどのように計算するのか悩まれているところでもあるかと思います。
そこでできるだけ簡単に資金計画の方法を、シミュレーションを交えてご説明したいと思います。
そもそも資金計画とは
”国家,自治体,企業などがその事業を運営するのに要する資金を,いかなる源泉から調達し,いかに運用すべきかを合理的に計画したもの。”
引用元:コトバンク
簡単にいうと、お金をどうやって集めて、そのお金をどのように利用するのか計画したもののことです。
美容室の開業する際に対して具体的に挙げてみると下記のようなことを計画することが資金計画です。
◆どこの物件をどの金額で借り(もしくは購入)
◆いくらの費用を掛けて内装工事を行うのか
◆実際にどのシャンプー台、セット面、ローラーボール、スチーマー、ワゴンなどの設備を購入するのか
◆初期材料(カラー剤・パーマ液・ヘアケア・スタイリング剤)は何を仕入れるのか
◆どんな販促物を準備するのか
これらを計画することにより、具体的に必要な費用がわかり、経営計画、毎月の返済はいくらぐらいになるのか?いくら融資を受ける必要があるのかがわかります。
資金計画は大きく4つの計画に分ける
資金計画は、大きく4つに分けることが出来ます。
まず開業までにかかる費用、そして店舗を運営していく上での費用、更にお金を借りた場合の返済など、美容師を開業するとなると、様々な費用がかかります。
これらをしっかりと分けて考えなければなりません。
◆投資計画
投資計画とは美容室をオープンする前に必要な費用のことです。
具体的には下記の5つの項目があります。
- 物件にかかる費用(保証金・敷金・礼金・オープンまでの家賃)
- 開業準備にかかる費用(販促費・求人・リーフレット・初期の材料仕入れなど)
- 設備にかかる費用(シャンプー台・セット面など)
- 内装工事にかかる費用(設備の取り付け・施工など)
- 運転資金(家賃・人件費・光熱費・仕入れの数ヶ月分)
どれを除いても美容室を開業ができません。
◆売上計画
そのままですが、どのように売り上げを上げていくのかを計画することです。
売り上げは、「客数 × 平均単価 」で計算することが出来ますが、計画というだけに、短期的な売り上げ目標、中期的な売り上げ目標、長期的な売り上げ目標を立てる必要があります。
この数字があまりにも適当な算出方法であれば、融資を申請する際に指摘されるポイントになり、審査に落ちる要因にもなります。
しっかりと今の状況から考えて、どのくらいの目標が立てれるのかなど、現実的な数字を持ってどのように伸ばしていくのかのプランニングが必要です。
◆損益計画
売り上げから、仕入れ費・人件費・光熱費・雑費・返済費用などを差し引いた金額が損益です。
- 仕入原価(材料代)は変動費(約売上の10%程)
- 光熱費・雑費は変動費(約売上の5~10%程)
- 広告費は地域により大幅に増減 など。
初月から黒字にならなくても大丈夫です。ある程度の長い期間で考え、しっかりと利益を出していくために計画をすれば問題ないでしょう。
これらは、売り上げが分かればある程度のシミュレーションはできます。
※変動費の売り上げとの割合の参考表
◆返済計画
100%自己資金で開業するのであれば、返済計画は必要ありませんが、融資を受ける場合は返済計画をしっかりと立てる必要があります。
返済は毎月決まった金額を定められた時まで支払い続ける必要がありますの、バランスの良い計画を立てる必要があります。
美容室の資金計画のシミュレーションと方法
開業するからには必ず、その物件の条件があります。
そこで、今回は”15坪(50平米)の物件で4面2台の設備“を導入した美容室を開業すると想定して、シミュレーションをしてみましょう。
①まずは投資計画で初期費用を算出
◆物件関係にかかる費用(180万円)
全て地域や諸条件によって前後しますが、平均値を基に算出します。
まず大まかな家賃を算出してみます。1坪1万円が平均的な金額、よって15坪なので毎月15万円と想定します。
家賃がわかると、他の物件にかかる費用も想定できます。
- 保証金や敷金は合わせて10ヶ月分が平均的、よって15万×10ヶ月で150万円
- 約1ヶ月かかる内装工事期間中の家賃15万円
- 仲介手数料は約1ヶ月分で15万円
保証金・敷礼の150万円+工事期間中の家賃15万円+仲介手数料15万円=物件にかかる費用の合計金額は180万円
◆開業準備にかかる費用(20〜30万円)
オープン販促費(広告など)・求人・名刺・リーフレット(ショップカード・チラシ)・デザイン料・初期の材料(カラー剤・パーマ液・ヘアケア・スタイリング剤・店販商材等々)、様々な準備物があります。
これらを全て合わせて、最近は20〜30万円ほどの費用を掛けられることが多いと感じます。
◆設備工事(内装工事)にかかる費用
内装工事は1坪約35万が平均的です。 よって内装工事費用だけで525万円。
また必要な設備は、そのサロンにもよりますが、シャンプー台2台、セット面4セット、ローラーボール、スチーマーを基本とします。
全て新品を揃えるのか、中古で揃えるのかによってかかってくる費用が大幅に異なりますので、中古と新品双方の平均価格からシミュレーションできるようにしておきました。
※中古設備はビューティーガレージの平均から算出
◆シャンプー台の価格
中古:20〜30万
新品:70〜80万(よくあるパターン)
※1台の価格です。
◆セット面(椅子・鏡1セット)の価格
<椅子>
中古:3〜5万円
新品:5〜15万円
※1脚の価格です。
<鏡>
中古:1〜3万円(卓上タイプ)
新品:8〜15万円(卓上タイプ)
※1面の価格です。
<合計>
中古:4〜8万円
新品:13〜30万円
※シミュレーション上では、4面必要なので、×4をする必要があります。
◆ローラーボール(遠赤外線促進器)の価格
中古:約10万円
新品:20〜30万円
◆スチーマーの価格
中古:20〜30万円(パルッキー・MIST Duo)
新品:30〜60万円
◆ワゴンの価格
中古:約1万円
新品:2〜5万円
【5つの設備を揃えた場合の合計費用】
シャンプー台(2台分)・セット面(4面分)・ローラーボール・スチーマー・ワゴンを基本とし、中古で揃えた場合は87万〜134万円ほど、新品で揃えた場合は244万〜360万円ほどとなります。
サロンにより、何を用意するのかは異なりますので、あくまでも参考にしていただければ幸いです。
◆運転資金
オープン当初は売り上げが少ない状態(赤字状態)でも、サロン経営を続けていくためにお金が必要なので、できる限り売り上げがない状態でも3ヶ月は運営できるように運転資金を持っておく必要があります。
シミュレーションでは、4面2台なので2名雇用するという前提、また変動費は一人が出さないといけない売り上げ50万円を3人分にした売り上げ150万円の状態により算出しました。
<1ヶ月の運営に必要な費用>
- 家賃:15万
- 人件費:約20万×3人
- 仕入原価:想定は15万(売上の約10%程)
- 光熱費・雑費:想定は約10万(売上の約5~10%程)
- 広告費:想定は20万(地域により10〜30万)
合計すると、1ヶ月120万円必要な計算になり、最低でも3ヶ月分売り上げが無くても運営できる余裕を持っておく必要があるので、シミュレーション結果では、360万円の運転資金を持っておくのが好ましいとなりました。
投資計画で必要な費用の合計(4面2台で2名雇用の場合)
- 物件関係にかかる費用:180万円
- 開業準備にかかる費用:20〜30万円
- 内装工事にかかる費用:525万円
- 設備購入にかかる費用:中古は87万〜134万円、新品は244万〜360万円
- 運転資金の想定費用:360万円
<サロン設備を中古で購入する場合>
合計:1,172万円〜1,229万円
平均:1,200万円
<サロン設備を新品で購入する場合>
合計:1,329万円〜1,455万円
平均:1,392万円
15坪で4面2台、2名雇用する予定のサロンの投資計画では、中古と新品の平均1,250万円ほどの費用が必要だというシミュレーションとなりました。
②売上計画を考える
例えですが、固定客がいない状態でサロンをオープンし、顧客単価10,000円として1日15人来てくれるように算出したとします。そうなると1ヶ月で450万円の売り上げが上がります。
さすがにこのようなシミュレーションでは融資の審査に落ちる可能性の方が高くなってしまうので現実的な数字を持ってプランニングをします。
今回は4面2台15坪で3名のサロンということなので、顧客単価を8,000円とし、下記のような感じで、短期中期長期で最低でも3年分シミュレートしておくのが理想です。
- 初月:来店100人
売り上げ想定:80万円
運転経費(変動費含む):112万
損益想定:-32万円 - 2ヶ月目:来店140人
売り上げ想定:112万円
運転経費(変動費含む):118.8万
損益想定:-6万円 - 3ヶ月目:来店180人
売り上げ想定:144万円
運転経費(変動費含む):125.6万
損益想定:+18.4万円 - 4ヶ月目:来店220人
売り上げ想定:176万円
運転経費(変動費含む):132.4万
損益想定:+43.6万円 - 5ヶ月目:来店260人
売り上げ想定:208万円
運転経費(変動費含む):139.2万
損益想定:+68.8万円
このようなシミュレーションを3年分はする必要があります。
今回のシミュレーションは新規リピーターの確率を高めで算出しているので、まだまだ現実的ではないかもしれません。
ちなみにホットペッパーの場合になりますが、固定化する確率は高くて30%程(新規リピーター)と言われています。
損益計画
売り上げー仕入れ費—人件費—光熱費—雑費-支払利息=損益となり、売上計画ではは、返済費用を計算に入れていませんでしたが、しっかりと損益計算をするためには融資を受けた費用の返済金額も入れなければなりません。
※返済費用は税引き後利益から引きことになります。
毎月いくら売上が出て、経費がどの程度かかり、いくら返済し、いくら手元に残るのか?をしっかりと計算をして、短期〜長期で計画を立てる必要があります。
返済計画
返済金額に関しては、融資を受ける金額により異なります。
いくら融資を受けたいのか決まっているかと思いますので、そこから毎月の返済できる金額を売上計画から想定し、現実的な返済期間を持ってシミュレーションしていただくことを推奨いたします。
ただし、払えない金額を設定してしまっては元も子もありません。返済金額が想定よりも大きすぎると判断した場合は、投資金額を削る努力をする。また自己資金を増やすなどの努力も必要になってきます。
安定した黒字経営をするために大切な4つの資金計画
美容室を安定した黒字経営をするためには、投資計画・売上計画・損益計画・返済計画をざっくりではなく、細かく計算してプランニングすることが大切です。
ただどれだけ細かく計算したとしても、想定外のことが起きるのが店舗経営です。設備が壊れた、病気になって売上が落ちたなど、様々なことが考えられますが、余裕を持った資金計画をしておくことにより、少しの予想外のことが起きても、十分に耐えられるだけの体力を持った経営をできるようになります。
美容師や経営者として未来を見据えられるような、プランニングをぜひ行ってくださいね!
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